ここだけで話す「。展」のこと。

もうすでに日が変わってしまったが、昨日(6月24日)「。展」が無事スタートした。前日遅くまで設営を手伝ってくれた作家さん達、開催初日の朝にお集まりいただき速やかに設営いただいた作家さん達、そして高円寺よりはるばる遠征していただいた針金氏にお礼を申し上げたい。

みなさんのおかげで、無謀とも思える42組が集まったグループ展「。展」が無事開催にこぎつけることができました。本当にありがとうございました。

「。展」の告知サイトartmania cafe gallery yokohama のサイトをご覧いただいている方には既報のとおり、artmania cafe gallery yokohama(以下、artmania と略) をこの7年間、運営されてきた富田さんが運営から退かれます。

突発的かつ衝動的に「。展」の企画を思いつき、火がついたように行動を起こしたのは、そのような事情があったのです。5月9日の日記では明かせなかったのですが。

開催まで2ヶ月もない時点からはじまった展示企画に、快くご賛同いただいた参加作家のみなさまには頭が上がりません。本当にありがとうございます。

実は、俺がこの企画を思いついた時にひとつだけどうしても避けたいことがあったのです。
「身内だけの集まりのような展示」になること。それだけは避けたかった。

いくら想いを寄せる人が多かったとしても、身内だけの盛り上がりって、ある意味部外者にとっては興ざめじゃないですか。数多くのお客さんに来て欲しくて、さらにいままで来たことがない方にも来ていただいて、artmania を記憶に留めて欲しいのに、「身内だけの展示ではお客さんも身内しか来ない」ということに成り兼ねない。

そんなことになるのなら、グループ展なんてしなくていいんです(笑
身内にだけ集まろうと声をかければいいだけなのだから。

なので、いろんな作家仲間に参加をお願いし始めた日からartmania で展示したこともない人に声をかけていた。

図らずも、その意を汲んでくれた作家さんは、artmania には関係のない実力ある作家さんや、才能ある若い作家さんを参加に導いてくれた。

そうしたこともあって、展示初日に俺は「主催のMasashi Furukaです」と自己紹介することが多かった。
これは俺が望むところで、新しいつながりだ。

俺とのつながりだけではなく、ここで出会った作家さん同士の新しいつながりが生まれてゆく。

もちろんartmaniaにゆかりある人にも声をかけた。いろんな理由でここから遠ざかってしまった作家さんも、「最後だから」と喜んで引き受けてくださった。ありがたかった。

つながりを再確認することができた。

そして、長くはなるが、「。展」のキャッチコピー、「これまでも、これからも、作品はぼくたちをつないでいく」について、もう少しだけ書き残したい。

実は、というほどでも無いのだけれど、絵露愚乱末世4のあと、「もう当分グループ展はやらなくていいか」と考えていた。いろんな理由はあるのだけれども、絵露愚乱末世4のステートメントでは”現代の社会状況によって作品の評価や人間の関係性(=つながり)が脅かされていることへの警鐘”を、「誰かと誰かをつなぐアート。それが彼らの未来へつながる。」という日記では”誰かに届けと想いを込めた作品が新たなつながりを生んでほしいという願い”を危機感を伴って伝えようとしていたのだけれど、簡単に言えば、俺の願望は社会状況に対抗すらできなかった。

当然と言えば当然だ。

そういうこともあって「。展」の企画当初には「いまあるつながりを大事にしよう」というシンプルかつ至極当たり前ともいえる心境だった。これまでの作家仲間とのつながりを再確認し、それを信じることからはじめようと。

そして彼らの作品が持つ力、作家としての力を信じようと。

ある意味、絵露愚乱末世4のステートメントを考えていた時の心境とは、まったく異なる心境で、「。展」のキャッチコピーは生まれた。

これまでも、これからも、作品はぼくたちをつないでいく

そのキャッチコピーに込めた想いを、41組の作家さんが思い思いに汲んでいただき、一箇所に集った作品達は、artmania cafe gallery yokohamaの歴史の最後の幕引きとなる。それは終わりではなく、はじまりなのだ。

俺はいま確信している。

これまでのつながりは、これからもつながっていく、と。

これからのつながりは、これまでのつながりがあって、生まれていく、と。

 

 

暑い梅雨のなか、熱い展示がはじまった。

このグループ展が終わった時、それは新たなはじまりになる。

40人のグループ展
「。展(まるてん)」
これまでも、これからも、作品はぼくたちをつないでいく

2017年6月24日(土)〜6月30日(金)
12:00 – 19:00
入場無料
※開催期間内は毎日営業
artmania cafe gallery yokohama 2F,3F

NABEKAORUCokun, / keiko kawano / 工藤沙由美 / 中村美帆 / 稲垣有 / 立川瑛一朗 / おおくぼゆみこ / フジタユウコ / フジタヨーヘー / かまたきえ / 大慶 / なかがわ寛奈 / 綺桜シンヤ / 山田フユウ / 山本梢 / 蒼鬼ハル / kugi hatori / +++wakame+++ / 玉川宗則 / シブヤトシアキ / me9ru /ド鍋 / 丸子眞由ZERO Stage / HODA / Oedo Collection / 羽多野加与 / 雅yuki Yoshida / an-fill / 穂波 / ponicomonyura / ZomVuitton / YU奇 / 黒故 / Tina-OmemeKARe→? / 黒滝ゆう / おおのあやか / 星之杏奈 / Bunny.D / Masashi Furuka 他
(順不同)

「。展」告知サイトはこちら

これまでも、これからも、作品はぼくたちをつないでいく

5月4日、ちょっとした経緯があって急遽グループ展を開催することを決意。出展してほしい作家仲間に電話やライン、メッセンジャー、メールなどありとあらゆる手段で連絡を取り始めた。展示開始まで2ヶ月もない無謀ともいえるお願いに何人もの仲間たちが承諾してくれた。

友達を紹介する!と言ってくれた人も何人も何人もいて。

もちろん、急な話なので、都合がつかず参加できない方たちもたくさんいた。もう少し前から計画してお願いしていれば事情は違ったのかも知れないが。申し訳ない、と言われるものの、こちらのほうが申し訳ないと思う。

当初30人を集める!と息巻いていたが一抹の不安はあった。
しかし、その不安はすぐに吹き飛んだ。

3日で30人以上の作家さんが参加を決めてくださった。本当にありがたい。

これは俺の力でもなんでもなく、「ある事情」があるからで。
それはいまは明かせないのだけれど。

もう、かれこれ、10年近く作家を名乗り活動するなかで、本当に作家仲間ってありがたいし、心強いなぁと思う。

最終目標の40人まではあと数人。
出展作家が決まっても、やることは山ほどある。

どうかみなさん、心の中でいいから応援してください。
この展示が成功することを。

40人のグループ展
「。展(まるてん)」
これまでも、これからも、作品はぼくたちをつないでいく

2017年6月24日(土)〜6月30日(金)
12:00 – 19:00
入場無料
※開催期間内は毎日営業
artmania cafe gallery yokohama 2F

「。展」告知サイトはこちら

絵露愚乱末世4で新作を展示します。

絵露愚乱末世4が3日後、10月31日(月)から、横浜のartmania cafe gallery yokohama で始まります。
自分の仕事もバタバタしているなかで、グループ展とイベントの告知に時間を割いていたら、すっかり自分の展示の告知を忘れてしまっていて(恥

今回展示する作品のなかでもメインは「男の娘」という作品です。絵露愚乱末世4のために新しく制作しました。
読んで字のごとく、「男の娘」であり、私が主催していたイベントに出演していただいたことがある「ゆや」さんにモデルとしてご協力いただきました。しかも自他共に認める真正ドM!

ドMの男の娘を Masashi Furuka がリアルかつ貪欲に撮るとどうなるのか、というテーマに挑戦した次第です。
結果、ゆやさんが描く「自身の女性としての理想的な見え方」を追求するのと同義の撮影になったと思います。と同時に、女性とも男性とも見えるような「見え方」にもこだわったつもりです。性別の境界線が揺らぐさまを感じとっていただけると本望です。

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このほかにも、今年6月に制作・展示した作品を再展示します。

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見逃した方はこの機会にぜひ。

余談ですが、絵露愚乱末世のステートメント。俺が書いたのだけれど、もう何十回も読み返しては、その度に熱い思いがこみ上げてきます。ひさびさに渾身のテキスト、出色の出来栄えw

もしご興味があれば、ご一読ください。
(本記事の下方にあります)

絵露愚乱末世公式ブログ : http://eroguro.grats.jp

 

「絵露愚乱末世4に寄せて」 イラスト:星之杏奈
「絵露愚乱末世4に寄せて」 イラスト:星之杏奈

絵露愚乱末世4 ~綺麗に削げねぇだろうが~

電脳の巨人達が跳梁跋扈する世界。
イイネシェアの壁をその心臓と性癖で突き破れ!

■ステートメント

美と快楽を追求していただけなのに、いつの間にか政治家の顔や夕飯、知らない人の笑顔、唐突な広告などで画面が埋め尽くされてしまい辟易したことはありませんか。利用者のための利便性という名目で、知らず識らずのうちに私たちが目にする検索結果やSNSのフィードは非公開のアルゴリズムにその優先順位を変えられてしまい、非常に偏った情報しか得ることができなくなっています。私たちが胸を躍らせて飛び込んだ電脳の世界はいまや閉塞感と倦怠感に満ちています。

それとともに、より多くイイネを得るために、より多くシェアされるために、加工された情報がもてはやされています。ただつながっていたいだけなのに、ただ連絡を取り合えるだけで心安らぐのに、独自性の一部を削り落とすことが目的ではなかったはずなのに。数の論理に取り込まれるような友人関係など欲していなかった。誰かに伝わってほしい、気付いてほしいと発した一言が届かないことがあるなんて思いもしなかったーーー。

今回で4回目となる本グループ展では、エログロというモチーフを通して、そのような世界でも独自性を育み創作し続けている実力派の作家達の表現を一堂に集結。スマホやパソコンのスクリーンでは体験することが難しい世界観を、イイネやシェアの数では計り知れない魅力を、誰かに届けと想いを込めた作品を。
横浜みなとみらい地区と線路を隔てた野毛地区にて存在感を発揮する古民家を改造したギャラリー「artmania cafe gallery yokohama」全館に展開するこの展示を通じて、貪欲なほどリアルに提供したいと考えています。

 

■グループ展の概要

本グループ展では、総勢15名の作家が、イラストレーション、ペインティング、写真、ミクストメディアの立体、人形、パフォーマンスなどさまざまな作品を展示します。

展示場所は、再開発後若手アート作家達が定着しはじめている横浜の黄金町・日ノ出町・野毛エリアにある、民家を改造し特徴ある建屋のカフェギャラリー「artmania cafe gallery yokohama」です。狭くかつ立体的な独特の建造物で15名の作家が、所せましと繰り広げる「エログロ」の新境地をぜひ、ご高覧いただき、講評を賜りたく、ご案内申し上げます。

 

■会期

2016年10月31日(月)〜11月6日(日) 13:00~20:00 入場無料

 

■会場

artmania cafe gallery yokohama
〒231-0064 神奈川県横浜市中区野毛町3-122
Tel / Fax : 045-514-3980
営業時間 : 15:00 ~ 22:00 (不定休)
無線LAN(FON)使えます。

JR桜木町駅より徒歩5分
ブルーライン桜木町駅より徒歩4分
京浜急行日ノ出町駅より徒歩6分

 

■会期中のイベント

2016年11月3日(祝)イベント開催
入場料 1,500円(1ドリンク付)※割引制度あり

Sweet Body などエログロ企画がゾクゾク!!当日混雑の場合は入館できない場合がございます。

詳細は公式ブログ :http://eroguro.grats.jp

 

■出展者

ZERO Stage / 星之杏奈 / 千葉 晃永  / ヒラマツヨシカズ / 工藤沙由美 / 雅yuki Yoshida / おおのあやか/ 兜鴇鴻 /

はなぢ / 穂波 /  武内瑞希 / an-fill / ふゆのめえ / 堂山桜子 / Masashi Furuka


■主宰

ZERO Stage / Masashi Furuka

 

■企画・プロデュース

Masashi Furuka

 

■DMイラスト

星之杏奈

誰かと誰かをつなぐアート。それが彼らの未来へつながる。

「絵露愚乱末世4に寄せて」 イラスト:星之杏奈

思えば挫折と遠回りを繰り返している。それはいまに始まったことではなく、20代前半からだ。
いろいろな周囲の意見や思惑・状況に意識的か無意識かもわからないまま時が何かを変えることを待っていた時期があった。そのこと自体に善悪を判断する基準もなく、いや正確に言えば、そのような善悪は自分が死ぬ時に主観的に判別し、死ぬ時に周囲が知るかどうかもわからず、時間の狭間にとり残されていけばいい、そう思っていた。

これまで書いたように、絵露愚乱末世の運営に強い疲労感を覚えたままの時期が続いた。

ただ、その時に参加したいという強い想いを持った作家がいたことをずっと覚えているし、時が流れる中で展示は労力もかかるのでイベントだけでもやってはどうかとの周囲からの提案もあった。

しかし、俺は動かなかったし動けなかった。
時が過ぎゆくなかで「俺が動かなければ、絵露愚乱末世も動かない」ことだけは理解できた。

俺に気を遣おうが、遣おうまいが。

2016年の4月のアートを取りなく状況というのは、コマーシャルアートはともかく、はっきり言って「つまらない」と感じた。
シェアやイイねの数が作品の評価指標足り得る世界なんて多くの作家は望んでいない。それだけのコミュニケーションなんて味気ない。

誰かに届けと想いを込められた作品はイイねやコメントだけでは、計り知れない魅力がきっとある。

俺はアート界の状況とかなんて知りはしない。

ただ、真摯に個々の状況と向き合い、誰かに届けと想いを込めて作品を作り続ける作家たちの作品を、誰かに届けられる一助になればと、再び絵露愚乱末世を再起動した。

そこで繋がる作家と観客が、いずれ「彼らを取り巻くアートの状況」を変えていく。

そう信じている。

 

絵露愚乱末世公式ブログ : http://eroguro.grats.jp

2回続いた成功と3回目での挫折。

「絵露愚乱末世4に寄せて」 イラスト:星之杏奈

さて、絵露愚乱末世の話を続けていく。主宰ではあるし、企画・プロデュースを謳っているものの、あくまで一個人の見解だと思って欲しい。みんなそれぞれ意見や想いはあるので。

1回目を終えて、インディペンダントな作家グループにしていきたいと思っていたので、2回目は新宿眼科画廊さんに展示会場を変え、3回目は吉祥寺のgallery re:tail さんへと転々としていった。これについては賛否両論あると思う。個人的には、同じ会場で何回も続けていると既視感が強く「ただ作家を変えただけ」みたいになるのを避けたかった。

1回目はイベントも行列待ちができるほどで大盛況だったし、展示もこれでもか!というほどに壁や階段の隅々に作品が溢れエネルギッシュな展示になった。出展していただいた作家さんの気合と努力の賜物だと思う。

2回目は千葉くんのインスタレーション企画「千魔羅観音」をはじめ、共通テーマ作品として各作家の作品とは別に制作してもらい投票してもらうなど、実にグループ展らしいまとまった展示だった。

3回目はというと、高名なエログロ漫画家の氏賀さんや朝倉景龍など質の高い作家さんも参加し、展示的には会場も広く一番出来が良かったのではないかと思う。ただ宣伝的にイベントは集客に難があるなど課題が多く見つかった。なにより、惰性というのを俺自身は強く感じていた。

広いし、展示もよいのだが、2週間という会期はやはり長すぎたかもしれない。それに偶然ではあるが俺の個人的な事情(精神状態やら仕事やらなにやら)が崖から落ちる寸前みたいな状況だった(苦笑)こともあり、疲労がピークに達してしまった。

 

その後、このブログでも空白期間があるように一切のアート活動をしばらくの間しなかった。
できなかった。やる気がおきなかった。
生きるだけで精一杯だった。

土スペというイベントを縁があって池袋でやったものの、集客は芳しくなく、9ヶ月で打ち切りになった。俺の心は砕け散った。

そして、ただただ時が流れた。

(続く)

絵露愚乱末世公式ブログ : http://eroguro.grats.jp