彼女からメッセージが来たのは、
2009年04月27日。
初めて会ったのが、2009年5月9日。
その日の夜、まえださんとオレは彼女を待っていた。
No Reason のキャッチコピー(※1)だけを見て、メッセージをくれた初めての人。
それが彼女だった。
初めてでも写真と変わらぬ印象。
はきはきとした物言いが清々しい。
夜の待ち合わせでそれほど時間がないことから、早々と渋谷駅前のCafeに入った。
3人で話し、想定する撮影シーンなどを1時間ほど話して、その日は別れた。
そして、その日から約4ヶ月。
ようやく彼女を撮影したのは、9月12日だった。
当初想定していた撮影シーンとは全くことなるため、撮影日の一週間前、オレとモデルさんで新宿御苑に下見に行った。想定シーンは野外だ。
死に場所を探すのは、
どうしてこうも気が安らぐのだろう。
晩夏の日差しは、
なぜかサボテンの棘を思い出させる。
木陰の風は、
まるで記憶を運び去るかのように、
やさしくそよぐ。
写真のコンセプトは、Flickrにアップした写真のタイトル通り。
「a vampire’s suicide」。
疑似死体写真プロジェクト「No Reason」-a vampire's suicide
死ねない吸血鬼は、何を思って
死を選ぶのだろう。
生きたくない吸血鬼は、生きている間
何をその糧としたのだろう。
まえださんとは、No Reason以外の撮影もしていたものの、その日は久々の疑似死体撮影だった。
しかし、撮影日はあいにくの雨。
当日午前に急遽スタジオを予約し、集合場所を変える。まだ使ったことのないスタジオだが仕方がない。
スタジオの片隅に倒れる牙なき吸血鬼。
それにしても、なぜか深い悲しみを感じる彼女の存在はなんなのだろう。
撮影が終わると雨は止んでいた。
まだまだ撮れると思うし、また撮る機会があるだろうと思う。
遠音さん、そのときまでお元気で。
※1 たぶん、生きることに、死ぬことに、理由なんていらない。