13 No Reason第7回撮影

彼女からメッセージが来たのは、
2009年04月27日。
初めて会ったのが、2009年5月9日。

その日の夜、まえださんとオレは彼女を待っていた。

No Reason のキャッチコピー(※1)だけを見て、メッセージをくれた初めての人。
それが彼女だった。

初めてでも写真と変わらぬ印象。
はきはきとした物言いが清々しい。

夜の待ち合わせでそれほど時間がないことから、早々と渋谷駅前のCafeに入った。

3人で話し、想定する撮影シーンなどを1時間ほど話して、その日は別れた。

そして、その日から約4ヶ月。
ようやく彼女を撮影したのは、9月12日だった。

当初想定していた撮影シーンとは全くことなるため、撮影日の一週間前、オレとモデルさんで新宿御苑に下見に行った。想定シーンは野外だ。

死に場所を探すのは、
どうしてこうも気が安らぐのだろう。

晩夏の日差しは、
なぜかサボテンの棘を思い出させる。

木陰の風は、
まるで記憶を運び去るかのように、
やさしくそよぐ。

写真のコンセプトは、Flickrにアップした写真のタイトル通り。
「a vampire’s suicide」。

疑似死体写真プロジェクト「No Reason」-a vampire's suicide

死ねない吸血鬼は、何を思って
死を選ぶのだろう。

生きたくない吸血鬼は、生きている間
何をその糧としたのだろう。

まえださんとは、No Reason以外の撮影もしていたものの、その日は久々の疑似死体撮影だった。

しかし、撮影日はあいにくの雨。
当日午前に急遽スタジオを予約し、集合場所を変える。まだ使ったことのないスタジオだが仕方がない。

スタジオの片隅に倒れる牙なき吸血鬼。

それにしても、なぜか深い悲しみを感じる彼女の存在はなんなのだろう。

撮影が終わると雨は止んでいた。

まだまだ撮れると思うし、また撮る機会があるだろうと思う。

遠音さん、そのときまでお元気で。

※1 たぶん、生きることに、死ぬことに、理由なんていらない。