※この記事は2012年1月に書いた記事 を加筆修正したものです。
撮影は秋もすぐそこで、しとしと雨が降るなか、
とある公園ロケだった。
前回の撮影からは、おそらく三ヶ月ほど空いただろうか。
その間、絵露愚乱末世というエログロをテーマとしたグループ展を企画し、オレ自身も新作を出した。
「贄」という作品で、撮影は半日を二回だけ。
大半の時間をグループ展の企画や進行などもろもろの運営作業に費やしたことになる。
しかし、No Reason の制作が進まなかった理由は、
スタイリストさんを探していたからだった。
赤田さんが忙しく、海外に行かれることも多く、
なかなかお願いできないからだ。
新しいスタイリストさんは鈴木めぐみさんという。
例によって、mixiの募集に応募してくれたのは一人だけw
もう慣れたからどうとないとないけどw
何度か顔を合わせ、打ち合わせをした。
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そして、今回のモデルはSさん。
あるジャンルではとても有名な方なのだが、
名前は伏せさせていただく。
この方は、Natsukiさんの紹介で知り合った。
例によって希望の死に方を聞くと、
「ぐちゃぐちゃで死にたい」
と。
というわけで、土の中でぐちゃぐちゃになってもらうことにした。
か
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ロケハンをして、Sさんの家から近くの公園で、
いい場所を探した。
偶然ではあるけれども、その公園にとても魅力的な場所があった。
そして、撮影方法も新しい撮り方を試したのだが、
道具が手作りの木製で、カメラとレンズを支えきれず、
結局水平器を頼りに、勘で撮影することに(汗
小雨が降る。
メイクはSさんの家でほぼ済んでおり、
現場でのスタイリング。
「もっと切って」
とだけ、注文して、オレはカメラの方へまた
戻って行く。
「戻る」というだけの多少の距離はあったのだ。
Sさんの疑似死体への入りもスムーズだった。
まるで小雨の一粒一粒が針で、彼女の柔らかな肌を
串刺しにしていくかのように、静かに冷酷な空気が漂った。
寒いのに、本当にありがとう。Sさん。
Natsukiさん、鈴木さん、フジタさん。
この作品のモチーフは、ヘラという女神。
ゼウスの姉であり妻があったといわれる神がモチーフだ。
なぜ彼女が死んでいるのか、
それは神でさえわからないだろう。