47 No Reason 第37回撮影

※この記事は2012年1月に書いた記事 を加筆修正したものです。

 

撮影は秋もすぐそこで、しとしと雨が降るなか、
とある公園ロケだった。

前回の撮影からは、おそらく三ヶ月ほど空いただろうか。

その間、絵露愚乱末世というエログロをテーマとしたグループ展を企画し、オレ自身も新作を出した。
「贄」という作品で、撮影は半日を二回だけ。

大半の時間をグループ展の企画や進行などもろもろの運営作業に費やしたことになる。

しかし、No Reason の制作が進まなかった理由は、
スタイリストさんを探していたからだった。
赤田さんが忙しく、海外に行かれることも多く、
なかなかお願いできないからだ。

新しいスタイリストさんは鈴木めぐみさんという。
例によって、mixiの募集に応募してくれたのは一人だけw

もう慣れたからどうとないとないけどw

何度か顔を合わせ、打ち合わせをした。

そして、今回のモデルはSさん。
あるジャンルではとても有名な方なのだが、
名前は伏せさせていただく。

この方は、Natsukiさんの紹介で知り合った。

例によって希望の死に方を聞くと、
「ぐちゃぐちゃで死にたい」
と。

というわけで、土の中でぐちゃぐちゃになってもらうことにした。

ロケハンをして、Sさんの家から近くの公園で、
いい場所を探した。
偶然ではあるけれども、その公園にとても魅力的な場所があった。

そして、撮影方法も新しい撮り方を試したのだが、
道具が手作りの木製で、カメラとレンズを支えきれず、
結局水平器を頼りに、勘で撮影することに(汗

小雨が降る。

メイクはSさんの家でほぼ済んでおり、
現場でのスタイリング。

「もっと切って」
とだけ、注文して、オレはカメラの方へまた
戻って行く。

「戻る」というだけの多少の距離はあったのだ。

Sさんの疑似死体への入りもスムーズだった。
まるで小雨の一粒一粒が針で、彼女の柔らかな肌を
串刺しにしていくかのように、静かに冷酷な空気が漂った。

寒いのに、本当にありがとう。Sさん。
Natsukiさん、鈴木さん、フジタさん。

この作品のモチーフは、ヘラという女神。
ゼウスの姉であり妻があったといわれる神がモチーフだ。

なぜ彼女が死んでいるのか、
それは神でさえわからないだろう。

2回続いた成功と3回目での挫折。

「絵露愚乱末世4に寄せて」 イラスト:星之杏奈

さて、絵露愚乱末世の話を続けていく。主宰ではあるし、企画・プロデュースを謳っているものの、あくまで一個人の見解だと思って欲しい。みんなそれぞれ意見や想いはあるので。

1回目を終えて、インディペンダントな作家グループにしていきたいと思っていたので、2回目は新宿眼科画廊さんに展示会場を変え、3回目は吉祥寺のgallery re:tail さんへと転々としていった。これについては賛否両論あると思う。個人的には、同じ会場で何回も続けていると既視感が強く「ただ作家を変えただけ」みたいになるのを避けたかった。

1回目はイベントも行列待ちができるほどで大盛況だったし、展示もこれでもか!というほどに壁や階段の隅々に作品が溢れエネルギッシュな展示になった。出展していただいた作家さんの気合と努力の賜物だと思う。

2回目は千葉くんのインスタレーション企画「千魔羅観音」をはじめ、共通テーマ作品として各作家の作品とは別に制作してもらい投票してもらうなど、実にグループ展らしいまとまった展示だった。

3回目はというと、高名なエログロ漫画家の氏賀さんや朝倉景龍など質の高い作家さんも参加し、展示的には会場も広く一番出来が良かったのではないかと思う。ただ宣伝的にイベントは集客に難があるなど課題が多く見つかった。なにより、惰性というのを俺自身は強く感じていた。

広いし、展示もよいのだが、2週間という会期はやはり長すぎたかもしれない。それに偶然ではあるが俺の個人的な事情(精神状態やら仕事やらなにやら)が崖から落ちる寸前みたいな状況だった(苦笑)こともあり、疲労がピークに達してしまった。

 

その後、このブログでも空白期間があるように一切のアート活動をしばらくの間しなかった。
できなかった。やる気がおきなかった。
生きるだけで精一杯だった。

土スペというイベントを縁があって池袋でやったものの、集客は芳しくなく、9ヶ月で打ち切りになった。俺の心は砕け散った。

そして、ただただ時が流れた。

(続く)

絵露愚乱末世公式ブログ : http://eroguro.grats.jp