※この記事は2011年10月に書いた記事 を加筆修正したものです。
山本梢がオレに、
前回のオレの個展に行きたかったけど行けなかった作家さんがいま個展をしている、
なので行きませんか?
と誘ってくれた。
No Reason に興味がある人を放っては置けない。
夜に待ち合わせて個展会場へ向かった。
山田布由さん。
黒のみのペン画で、白場の使い方が印象的だった。
しばし歓談したが、なぜかオレの作品の話がしが大半を占めた記憶がある。
もちろん、彼女の作品を観賞し、
ポートフォリオも拝見して、
感想をお伝えした。
モデルを志望していただいたので、
諸々の前提事項をお話しし、
承諾をいただいた。
その日は夜で時間もなく、
日を改めて、
顔合わせを正式にしましょう、ということになった。
●
この個展とポートフォリオを見て、
オレは彼女の精神状態がどうあるか、という一つの推論があった。
作品は否応なく、作家の精神状態や時にはトラウマをも映し出す。
顔合わせは、某ギャラリーにて行った。
フジタさんが同席できないので、許可を得たうえで、
内容を録音した。
自分の絵の世界観の中で死にたい。
作家としては共感できる想いだ。
そして、オレは推論をぶつけた。
いま彼女は踊り場に立っている、ということ。
作家なら誰しもが通る通過点。
変化、試行錯誤、習熟、構築、崩壊を繰り返して
辿り着く。
遅かれ早かれ、多くの作家はジャンルを問わず、
そのような丘や谷を歩いて行く。
新しい自分へ。
というのがキーワードだ。
世界観は決まっている。
あとはモチーフだ。
本作では、スタジオ撮影で、
とにかく一つのセットに絞って、
その世界観を追求した。
この撮影のために、
スモークマシンを手に入れたり、
公園を黙々と彷徨い羽根を拾い集めたり。
シンプルな世界にしたかったので、
情報量をなるべく抑えてシーンを創り上げたつもりだ。
黒い羽根、黒い矢。
交錯する図形空間の世界に見るのは、
静物のみである。