53 No Reason 第43回撮影

43回目の撮影日は2017年9月のある日。毎度毎度間が空くことが習慣になってしまっていて、前回の撮影から7ヶ月が経っていた。

その間、展示を2回(「。展」「カレイドスコープ#002」、いずれもグループ展)を経ていたので、それを言い訳にするのは容易いのだが。延ばし延ばしになるのは本意ではないので、この2回の展示の間に個展開催を決意した。

 

今回のモデルは、俺が共同主宰した「絵露愚乱末世4」のイベントや、出展していた「カレイドスコープ#002」のイベントでも舞踏を披露してくださった大岩英夫(現 大岩 巌)さん。

筋金入りの美術家であり舞踏家。どちらのイベントでも堂々とした路上での舞踏パフォーマンスは見る人を魅了した。彼の作品が所狭しと並ぶ高円寺のご自身の居酒屋は、なんというか、とても清らかだ。

実は大岩さんを撮影する前に、モデルさんは二人決まっていた。しかし、大岩さんにモデルになっていただくことをお店にお邪魔して打診した際、すぐにオッケーをいただいたのと、今週末に踊るよ!と聞いたので、ならその場で撮ろうということに決まってしまった。

もちろん、今回も多重露光撮影。しかも今回はぶっつけ本番。大岩さんがどう踊るのかもわからない。でも撮れると確信していたし、撮るしかないという覚悟があった。

撮影日の数日前、台風が関東に接近することをテレビでは囃し立てていた。当日、暗い曇り空。野外で多重露光をするには絶好の条件。イベント会場に昼過ぎに到着するも大岩さんが見つからない。

思い切って携帯電話に電話すると、なんとか空も持ちそうだし、4時前後から準備を始めると聞いたので、チャンスだ、と思った。

 

そして、4時前に公園に行くと、大岩さんが着替えつつ、身体に白粉を塗って準備を始めていた。どこらへんで踊るのか、どれぐらいの時間踊るのか、ぐらいしか聞かず。

 

 

待ち時間の間、俺が準備したのは、イベント会場の近くにある、たまたま見つけた花屋で、たまたま見つけたひまわり。

 

大岩さんは踊り続ける。

俺は多重露光(今回は三重)を何度も何度も繰り返す。大岩さんを撮っては、振り返り移動して花を撮るをひたすら繰り返す俺を、たぶんその場にいた人は何をしているのか、ほぼ意味がわからなかっただろう(苦笑

小一時間ほどして、撮れたことを確信した俺は、大岩さんの記念になりそうな写真を撮ることにシフト。

踊り終わった大岩さんにお礼を言って、プリントをお渡しすることを約束した。

撮り終わってから、いくつか不幸なことが重なり、結局この写真を完成させたのは10月に入ってからだ。

そして、ようやく個展を告知できるところまで来ることができた。

 

来年の1月、新宿眼科画廊でお会いしましょう。