※この記事は2012年8月に書いた記事 を加筆修正したものです。
この撮影のモデルは、はつかさんという女性。
いつものごとくこの制作記録は時が激しく前後するがご容赦願いたい。
そして、いまオレは公式サイトのモデル募集のリビジョンの記録をチェックしている。
記録によると、2011年2月14日にモデル募集受け付けを一時停止した。
ちょうど、No Reason Digital Bookを編集しているときだ。
このときに、これまでのFile:01 から File : 03 までを再編集しながら、
File : 04 のコンセプトを詰めていた。
そして、File : 04 のコンセプトがほぼ詰まった頃に東日本大震災が起こった。
第34回以降書いているように、震災以降も撮るべきモデルさんがいたので、
募集再開はかなり先で、再開したのは2011年7月4日だった。
そして、3日後にはつかさんからモデルへの応募があった。
2010年11月にオレが個展宣伝のために出たデザインフェスタで興味を持って
いただいたことが書かれていた。
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顔合わせは7月26日。
二十歳すぎの学生さんにしては、ラカンをご存知でその辺の話しを中心に話したように思う。
そして、このときに衣装のコンセプトは固まっていた。
スレンダーで背が高いので、女装男性という設定でドラァグ・クイーンが似合うと思ったのだ。
設定が決まったが、その後ことごとくオレとスタイリストの鈴木さんとの日程が合わず、
撮影日を決めては延期が続く。
本当に心底申し訳ないと思っていた。
シーンのイメージは固まっているし、小道具も用意したが、結局撮影できたのは、
年が明けて、2012年の4月2日だった。
モデル募集を閉鎖していた機関を会わせると、都合一年ほど待たせてしまったことになる。
しかし、妥協しては逆に失礼だと(オレは)思うので、みんなのタイミングが合うまで
調整し続けるしかない。腹を括るしかないのだ。
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当初はロケを考えていたのだが、ヘアメイクのしやすさと
小道具のコントロールのしやすさを重視してスタジオにした。
小道具用のスプレー塗料のシンナーがスタジオに充満し、
その臭いが強烈でみんなから「外でやってくれ!」とダメ出しがでるwww
Natsukiさんのヘアメイクと鈴木さんのスタイリングもばっちりだ。
2回目とは思えないほど、現場の雰囲気もいい(これはNatsukiさん、
鈴木さん、フジタヨーヘーさんのおかげなのだが
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セッティングもいたってシンプル。
ポイントはスタイリングもそうなのだが、
設定に合わせた小道具とモデルのポージングだ。
この作品も合成を前提としているので、撮るべきポイントを抑えて、
後は追い込む。
はつかさんは微動だにしない。
それほど楽な姿勢ではないのだけれど。
空間に溶け込み、飛び交う小道具を気にかける気配すらなく、
その視線はうつろに一点を、いや床を突き抜けて、
地球の裏側の空に浮かぶ星を見ているかのようだ。
ポージングはひとつしか撮らなかった。
シーンはあたまの中に明確にあったので、
それに近づくよう追い込みたかったから。
そして、撮影終了。
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オレは、はつかさんの一年分の想いに応えられただろうか。
いま、それはわからない。
でも、きっとこの作品を公開するとき、
なにか伝わるものがあると、そう信じている。
※写真は撮影風景(撮影フジタヨーヘー氏