35 No Reason第26回撮影

撮影日は、2010年8月15日、終戦記念日。
とくにその日にした深い意味はないのだけれど、
気にはなっていた。

この日のモデルは、mixiコミュのモデル募集告知を見て、応募いただいた、ちあきさん。

いつもそうなのだけれど、「なぜ、この人は疑似死体モデルに応募したか」を聞くようにしている。とりわけ、mixiなどで、プロフィールを見ても、なかなか「No Reason」のテーマや世界観との関連が見えづらい場合は。

ちあきさんも、プロフィールには、ダンスが好きというだけで、オレとの接点は、好きなミュージシャンに、linkin park があるぐらいで。

モデル経験は少ないらしく、顔合わせをした方がいいな、と思ってはいたが、それも叶わず、撮影当日に、撮影前になるべく時間を取って、接点を見いだしたい、と思っていた。

ロケ地は渋谷の某所。
坂の途中にあるチェーンの飲食店で、いろいろ話を聞く。

その昔、「友達の友達はみな友達だ」という言葉が流行ったこともあったが、いまは、「友達の友達には、必ず鬱がいる」時代だと、この作品を作り続けていて実感を強くする。

こういうコミュニケーションで、
オレの考えや、モデルさんの心を掘り下げ、
撮影の流れをつくっていく。

シーン(死因)は、作品を観ていただきたいが、ダンスをされている、とのことだったので、身体の柔らかさを活かせればいいなぁ、と考えていた。

横を人が通りすぎるにもかかわらず、要求通りに無理な姿勢をしてくださった、ちあきさん。

このシーンは、日常によくあるものなので、メイクは普段のままで来ていただいた。

撮影メンバーは、
・モデル ちあきさん
・撮影助手 るか
・撮影 masashi_furuka
という最少構成。

夜間の撮影で、スローシンクロを使う。

この日は、るかがテンション高く、車道に身を乗り出し、轢かれても不思議ではないテストモデルをかってでる、など濃い撮影だったw

夏の路上に、異様なポーズで
横たわる疑似死体。
それは、別に「よくあること」を
再現したにすぎない。

しかし不思議なことに、8月15日の夜の風はなぜか少し冷たい感じがした。
気のせいではなく、たしかに。

真夏の夜の疑似死体は、「よくあること」なのに、きっと「特別なこと」だからなのかも知れない。