ナイフは道化、血は嘘に。

知って欲しいわかって欲しいとは思わない。ただ書きたいから書く、それだけ。

No Reason の個展が近づくと、いつもそう。

個展に向けて撮影をし作品をつくっている間は、ずっと心の中でナイフを研いでいるような状態。展示プランや諸々のことを進めながら、個展が近づくにつれ、そのナイフを自分の左胸に突き刺す。

血は流れない。
鋭い痛みが走る。
やがて痛みは鈍くなる。

痛みを感じなくなったら、右手に力を入れ、
さらに深くナイフを胸に沈み込ませてゆく。

心臓に刺さる寸前に気が狂いそうになる。
自分の心臓を自分のナイフで自分が刺す。

しかし、ナイフは所詮空想で、実体のオレは道化だ。

たとえ、オレが血を流そうとも道化の血は嘘になる。

 

No Reason の個展の前はいつもそう。

それを3回繰り返してきた。

そして4回目を前にして、
オレはいまナイフを自分の胸深く突き刺している。

まだだ、まだだ。
そう呻きながら、また右手に力を入れる。

それが自慰行為にならぬよう細心の注意を払いながら。