プリントと対峙する時に思うこと。

今日は展示に向けたプリントのチェックをしたのです。今回のプリントは未撮影のものがある段階から相談しつつ、少しずつデータを渡すことになってしまい、イーストウエストさんにはご迷惑をおかけしました。にもかかわらず、いつもながら担当のTさんには懇切丁寧にご対応いただきました。まずはお礼を申し上げておきたい(まだ2枚ほど残っているけどw

で、今日ブログに書こうと思ったのは、プリントチェック時に思ったことと、なぜプリントを専門家に依頼するかということを、すべて書き切れないだろうけど、少しだけでも残しておきたかったから。前回とは打って変わって現実的(笑)な話題だけれど、興味のある方はお付き合いください。

まず、なぜプリントを専門家に依頼するかについて。

そもそもNo Reason の3回目の個展までは自宅でプリントしていた。プリンタはEPSON の PX-5500。9色インクを使用する MAX ART というシリーズ。2000年代半ばに結構売れたので、ご存知の方も多いと思う。用紙も初めの頃は、EPSON のクリスピアという超光沢で、いろいろ試した後、No Reason シリーズではPICTRANの「局紙」を好んで使っていた。展示の回数にして10回以上。点数は数え切れない(苦笑)。

そのうち展示を続けるにしたがって、毎回新作を展示することを信条としていた俺はいくつかの課題を感じるようになった。列挙すると、「プリントサイズの限界」「何度も試し刷りをするコストと手間」「ひとりでプリントする限界」が主な課題だ。

プリントサイズの限界については、PX-5500 はA3ノビまで印刷できる。やっかいなことに写真というのはプリントサイズが違うと見え方が大きく変わる。たとえば、古い個展だと、こういう展示もした。

No Reason File01

とはいえ、上は特別な場合(笑)でロール紙のプリントを3枚横に並べていて。その後、No Reason の4回目の個展では、メインのプリントのサイズをおよそA2サイズにしたのであります。一点一点を大きくして細部も大きく見やすくしたくなったのです。

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また、「何度も試し刷りをするコストと手間」については、必要経費は外注化したほうが絶対に安いです。計算してみたらすぐわかる。自分でプリントするほとんどの人は自分の出したい色や絵に近づけるためにプリントをみては直し、データを調整したりプロファイルを変更したりしてると思います。俺もそうでしたが、展示を重ねるとその手間を省きたくなったのです。

展示前には時間を作るために自分の他の仕事を片付けたりしないといけないし、一番大事なのは「宣伝」「告知」だったりします。有名ではない身としてはね(苦笑)それに、今回みたく、プリントする時間を撮影する時間に充てることもできる。

最後に「ひとりでプリントする限界」ですが、やはりプリント段階においても第三者の眼や意見が入る余地があったほうがいいと思っています。何度もこのブログなどで書いているように、そもそも俺が作品を制作する過程で他人が関与しないことは少ないので。

ただ、冒頭話したように、プリントを外部に依頼することでチェックする時にいろいろ気づいたり思うことがいろいろあるのです。例えて言うなら、「自分の中学生の子供が部活合宿に行って、一週間会わないうちに帰ってきたら、ちょっと変わって見えた」みたいな感じ。いや、俺、子供もいないし独身ですがね(笑)

その時にチェックする観点っていろいろあるけど、詳しく書くと長くなるので割愛しますが、むかし会社員だった頃にディレクターとして蓄積した経験がすごく活きていて。まぁ、上の例えに沿って言えば、「合宿前と後で、何が変わったか変わってないかを、長所と短所を挙げ連ねて確認」しています。

「少し背が高くなった?」
とか
「なんだか少し大人になった?」
とか
「少し痩せた?」
とか
「顔のラインがシャープになった?」
とかとか。
印象的な部分が重点的ですが、細部の見え方もチェックします。

でも、このようなことって、自分でプリントしていると、ついつい「自分が気にしているところ」しか見えなくなって、偏った(部分的な)調整をしてはプリントするということを繰り返して泥沼に・・・となったことが俺にあったかどうかは忘れてしまった(笑)のだけれど、そういうことは「プリントを専門家に任せれば防止できる」のです。

まぁ、いろいろ書きましたが、結論的には、人それぞれ考え方もやり方も違うので、好きなようにすればいい(笑)と思いますが、写真を撮り続けるなら一度はプロラボにプリントを依頼してみることをお勧めします。

妄想猛走

6月18日(土)19日(日)の展示まで、あと1週間となりました。DMはどれだけの人の手元に届いただろうか。郵送した方はポストから取ってくれただろうか(笑)
見知らぬ方で手に取り、家に持って帰ってくれた方はいただろうか。

昨日一昨日と某公園で撮っていると、いろんなことや光景が脳内にフラッシュバックしてくる。時々休みつつ、フラッシュバックした人の姿を宙に追ってみる。若くして亡くなった人がいる。連絡がつかない人もいる。さまざまな光景が浮かんでは消える様はムービーというより、幾重もの多重露光のように相互に干渉しあい、やがては白く消えていく。

ボツ0061

小さな世界に意識も記憶も吸い込まれてゆく。

時間感覚はその渦潮に飲み込まれ、自分の存在を感覚することすらおざなりになった後、視覚だけが呼吸をする。血は固まり脈は今しがたの雨のごとく土を打ち続ける。

帰る場所を失った四肢。

写真は光の化石という生やさしいものではなく、地層のようなものだと最近は思う。
活断層や深層にマグマを湛えた地層。化石は浅い地層にしかないじゃないか。表面にはうっすらと流された汗や涙が。

写真はどこへ行くというのか。

後悔するぐらいならやり切るべき。

先週まで「Immortal smiles」の撮影とセレクトに追われていたので、考えるのを保留していたのだけれど、いざ予定していたプリントすべての入稿を終えると、やはり撮って展示しないと気持ちが悪い、後でかならず後悔すると思い、今日撮影してきた。

遡ると、No Reason「File:05 死後」を制作できると思いついた時から構成も同時に考えていて、あるテーマを下の写真のように撮っていこう、とぼんやり決めていた。

さて、ここでお見せできるのはボツ写真です・・・あくまで展示が最優先なので、申し訳ない。
自分で言うのもどうかと思うが面白い写真ではある。
おもしろいのだけれど、やはり、現像して仕上げて他の写真との展示の組み合わせとして見た時に、やはり採用できないと判断したのであります。

ボツ0023

展示する写真は上のものとは違いますので、展示をご覧いただける方は、組み合わせによる印象の違いを比べてみるとおもしろいかも。お楽しみに。

“もう一度光と戯れる” & “Not Photoshopped” そして・・・

6月18日(土)の展示開始が近づいてきて、制作も佳境です。

展示内容や作品のテーマは先日の展示案内の記事(2016年5月17日投稿「Masashi Furuka 3年半ぶりの展示ご案内」)に書いた通り、今回展示する作品は3系統の作品群です。

もちろん違う系統の作品なので、テーマやタイトル・モチーフが違うのですが、実は表現面では統一したコンセプトで作成しました。それはこの記事のタイトルである“もう一度光と戯れる”と、“Not Photoshopped”です。

“もう一度光と戯れる”というのは、すでに掲載している写真を見ていただくとわかる通り、多重露出を用いたり、マニュアルフォーカスで大きくぼかしてみたりと、カメラやレンズの基本的機能に立ち返って試行錯誤をしてみよう、というものです。

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なぜそういうことをしているかというと、「チャレンジと好奇心」という側面と「氾濫するスマホ写真への反抗(抵抗)」という側面があります。普段の仕事で撮るときには、なかなか踏み込みづらい領域の撮り方を今回の作品撮影で採用しました。まぁ3年半も制作を凍結していたのですから、その前後で同じことや同じやりかたを繰り返すのはあまりにも芸がないと思いますし(苦笑)。

こういう撮り方で自分の作品をつくったらどうなるだろう?という好奇心に忠実に一度やってみたいなぁ、と。これまでも変な撮り方はやったことあるんですけどね(「快楽原則」など)。撮影後にInstagramやPhotoshopで加工する楽しみもそれはそれであるし、俺も普段やってるんですけど、それはそれとして。

あと、仕事で撮る時もそうですが、「スマホでは撮れない写真」を常々意識しています。これはカメラマンだったら誰しもそうじゃないかな。コンデジはいうまでもなく。

あと、“Not Photoshopped” は上述の「カメラやレンズの基本的機能に立ち返って試行錯誤」したうえで、撮影した写真をPhotoshop(その他画像レタッチソフトも含む)を極力使わないで仕上げる、ということです。極力と書いたのは、モデルさんの顔のシミ取りとか、最低限のレタッチは作品という以上はしなければならないため。画像合成機能などは使用しない、という意味です。

なぜそうしたかといえば、前回の「File:04」ではPhotoshopの画像合成を前提として制作を進めたので、その反動です(苦笑)。

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うえの写真は、No Reason [051] 〜「File:05 死後」より〜 という作品の一部を切り抜いたものですが、これは多重露出というフィルムカメラ時代からある撮影手法で、Photoshopを使っていません。

一般的に画像合成をする際にPhotoshopを使う理由は、手間を省くためであることが多いです。コントロールの難しい多重露出で合成するよりも、別々に素材を撮影して、Photoshopのレイヤーで重ねる方が効率的だからです。

でも、今回の作品制作においてはそういう効率的なものに逆らっていこうとwww
たぶん、そうすることでPhotoshopを使った写真にはない「味」が出せると思っています。

ずいぶん長くなりましたが、最後に展示方法についてもう少し。

私が今回参加するイベントのコンセプトは「同じアパートに暮らしている作家たちが展示・販売する」ということなので、もちろん作品展示もしますが、私はちょっと今回の制作の裏側もお見せする予定です。そう!どれだけ非効率的か!!!をwww

というわけですので、お越しになられる方はそういう見方もしていただけると、より楽しめると思います。

※展示の案内は下記記事をご参照ください
展示案内の記事(2016年5月17日投稿「Masashi Furuka 3年半ぶりの展示ご案内」)

展示案内DM配布場所まとめ

 

Facebookやmixiで配布場所を流していたのですが、このブログの更新をすっかり忘れてしまっていて、配布から1週間ちょっとが過ぎてしまいました・・・すみません・・・そして絶句。

日が経っているので、在庫の様子がわからないのですが、お近くに寄った時などに見ていただければ幸いです。設置枚数は新宿眼科画廊さんがいちばん多いです。

<配布場所(敬称略・順不同)>

【渋谷】

Gallery Conceal

http://www.renovationplanning.co.jp/gallery_conc…/shibuya4f/

UPLINK

http://www.uplink.co.jp/

【新宿】

新宿眼科画廊

http://www.gankagarou.com/about.html

【原宿】

デザインフェスタ ギャラリー

http://www.designfestagallery.com/

【中野】

タコシェ

http://tacoche.com/

【代官山】

イーストウエスト 代官山サービスセンター

http://www.eastwest-inc.co.jp/servicecenter/index.html

【銀座】

アートスペース羅針盤

http://rashin.net

よろしくお願いします!

《展示参加イベント詳細》

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yokohama art apartment
(略称YAA)
開催日時: 2016年6月18日(土)〜19日(日)午後12時〜午後6時
入場料:無料
開催場所:artmania cafe gallery yokohama 全館 (計20ブース)
住所:〒231-0064 神奈川県横浜市中区野毛町3-122
電話/FAX:045-514-3980
イベント公式WEBサイト : https://yokohama-art-apartment.blogspot.jp

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